スセリの花冠
アイシテル

…え…。

愛世は思わずディアランから身を離し、まじまじとその顔を見つめた。

う、そ…。

そんな愛世に、赤茶色の瞳が切な気に瞬く。

「だ、だって、ディアランは…」

ディアランが苦しげにかぶりを振った。

「誰か他の人で君を諦めようとしたけど、ダメだった」

「じゃ、じゃあ、あの人は…」

「恋人じゃない。あれ以来会ってない」

……そんな……。私はてっきり、ディアランはあの女性と恋を始めたとばかり……。

ディアランは、真っ直ぐに愛世を見つめた。

「こんな俺を、嫌いになったか?」

ゆるゆると愛世の心に温かい何かが涌き出てきて、それが溢れんばかりに満ちていく。

今度は愛世が首を横に振った。

「思い切ろうと思ったの。好きでい続けるなんて迷惑だと思って。でも……そんなの無理だった」

言うそばから再び涙がこぼれ落ちる。

ディアランはたまらず愛世を引き寄せると、頬を傾けて唇を寄せた。

「アイセ。好きだ。出逢った時から」

ディアランの優しいキスが愛世を暖かく包み込む。

……そうだ。

俺は……アルドの森で出逢った時から愛世を好きだったんだ。
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