スセリの花冠
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ディアランは深夜になってようやく屋敷に戻った。

隊長としての任務に加えて戦いの後始末の指示、それらと平行してザクシー族の故郷返還についての会議。

兵達の傷はすぐに塞がったが大事をとって休暇を与えているので、人手不足だったのだ。

鎧を脱ぎ、風呂に浸かると、疲れた身体を引きずるようして寝室に入る。

……ん?

寝台に上がろうとした時、ディアランは誰かの気配を感じた。

目を凝らすと、頼りないランプの灯りに照らされた愛しい姿を見つける。

長い髪が呼吸と共に微かに揺れ、思わずディアランの唇から笑みがこぼれた。

窓際のテーブルに、なんと愛世が座っている。

突っ伏して眠ってしまっているのか、ピクリとも動かない。

俺を……ずっと待ってたのか?まだ身体が痛むだろうに……。

ディアランは愛世に近づくと、そっと髪を撫でた。

「アイセ」

「ん…?」

ディアラン……?

愛世はゆっくりと身を起こし、ボンヤリとディアランを見上げたが、直ぐに何度か瞬きをするとフワリと笑った。

「お帰りなさい、ディアラン。あ……ごめんね、勝手に入り込んで…」
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