スセリの花冠
ディアランは首を振ると濡れた髪をかきあげて、優しく微笑んだ。

「会えて嬉しいよ。それよりどうかしたのか?」

薄い夜着一枚のディアランは、鎧姿の彼より身近に感じる。

…ディアランに触れたい。抱き締めたい。

「ディアランの顔が見たくなって」

愛世はそう言うと、ディアランに頬を寄せた。

フワリと空気が動き、甘い香りがディアランを包む。

ディアランは愛世の身体に腕を回すと、優しく抱き締めた。

その途端、身体の奥が痺れるようで思わず眼を閉じる。

自分の鼓動が嫌というほど速くなるのを感じて、ディアランは苦笑した。

俺は…少年の頃にでも戻ってしまったのか。

「怒ってる?」

「なぜ?俺も逢いたかったよ」

しばらく抱き合ってから見つめ合うと、どちらからともなく唇を寄せる。

「ディアラン」

私、あなたと離れたくない。

「アイセ」

両手でディアランの頬を包むともう一度キスをして、愛世はディアランの名を呼んだ。

「ディアラン」

「ん?」

言わなきゃ。今の思いを。
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