スセリの花冠
愛世は突然自分の前に現れた美しい女神を思い出し、両掌を胸の前で合わせた。
ありがとう、須勢理姫。私、精一杯生きます。
決して恥じる事がないように。
両親にも貴女にも、それから……自分自身にも。
****
ディアランは鎧を脱ぐとマントをはずし、服を着替えた。
それから足早に愛世の待つ部屋へと急ぐ。
入り口の幕をそっと開けると、床に膝をついた愛世の姿が眼に入る。
手を合わせ、自国の神に祈りを捧げているその様子を、ディアランはしばらく見つめた。
「あ……ディアラン……」
やがて顔を上げた愛世がディアランに気付き、立ち上がろうとする。
それをディアランは軽く手を上げて止め、愛世の傍で膝をついた。
視線の高さを合わせ、ディアランは愛世を見つめる。
「疲れただろう?」
切れ長の眼に気遣うように見つめられて、愛世はちょっと笑った。
「大丈夫。ありがとう、ディアラン」
「その格好は目立つ。これを着るといい」
「……ありがとう……。でも、今ここで?」
ディアランに渡された服を手に取ると、愛世は困ってディアランを見た。
……俺の前では……当然無理だな。
だが、反応が見たい。
ディアランは愛世を見つめたまま悪戯っぽく笑うと、その男らしい唇を開いた。
ありがとう、須勢理姫。私、精一杯生きます。
決して恥じる事がないように。
両親にも貴女にも、それから……自分自身にも。
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ディアランは鎧を脱ぐとマントをはずし、服を着替えた。
それから足早に愛世の待つ部屋へと急ぐ。
入り口の幕をそっと開けると、床に膝をついた愛世の姿が眼に入る。
手を合わせ、自国の神に祈りを捧げているその様子を、ディアランはしばらく見つめた。
「あ……ディアラン……」
やがて顔を上げた愛世がディアランに気付き、立ち上がろうとする。
それをディアランは軽く手を上げて止め、愛世の傍で膝をついた。
視線の高さを合わせ、ディアランは愛世を見つめる。
「疲れただろう?」
切れ長の眼に気遣うように見つめられて、愛世はちょっと笑った。
「大丈夫。ありがとう、ディアラン」
「その格好は目立つ。これを着るといい」
「……ありがとう……。でも、今ここで?」
ディアランに渡された服を手に取ると、愛世は困ってディアランを見た。
……俺の前では……当然無理だな。
だが、反応が見たい。
ディアランは愛世を見つめたまま悪戯っぽく笑うと、その男らしい唇を開いた。