スセリの花冠
愛世は池のすぐそばの草の上で、仰向けに転がり月を眺めた。
「なんて大きなお月様なのかしら」
「いい気なものだな」
「きゃあっ」
急に頭上から声がして、驚いた愛世は小さく叫んだ。
慌てて起き上がると、真後ろで黄金色の長い髪がサラリと揺れている。
ティオリーン帝国の王、アルファスだ。
「なにしてる、こんなところで」
「っ!」
アルファスは愛世の前までゆっくりと歩み寄ると、素早く身を屈めて彼女の後ろ髪を掴み、腰から引き抜いた短剣を突きつけた。
鋭い切っ先が満月にキラリと光り、愛世の喉元にヒヤリとした感覚が走った。
アルファスは更に続ける。
「お前は何者なんだ。このティオリーン帝国に何しに来た?軍師ディアランを色仕掛けにして俺の首を狙いにきたか」
至近距離から覗き込み、アルファスは月を写した愛世の瞳を見据えた。
そんな愛世の細い顎は震え、桃色の唇は固く閉じている。
「答えろっ」
「わ、私は……!」
控えめな感じのする眉を苦しそうに寄せて、愛世はようやく声を出した。
「私はあなたの命を狙いに来たんじゃないわ。それにディアランを色仕掛けにしようなんて考えてない。ディアランは友達なの」
友達?
俺をバカにしてるのか?!化けの皮を剥がしてやる!
次の瞬間、アルファスが眼にも止まらぬ早さで愛世の胸元に手をかけたかと思うと、その服を一気に引きずり下ろして布を裂いた。
「なんて大きなお月様なのかしら」
「いい気なものだな」
「きゃあっ」
急に頭上から声がして、驚いた愛世は小さく叫んだ。
慌てて起き上がると、真後ろで黄金色の長い髪がサラリと揺れている。
ティオリーン帝国の王、アルファスだ。
「なにしてる、こんなところで」
「っ!」
アルファスは愛世の前までゆっくりと歩み寄ると、素早く身を屈めて彼女の後ろ髪を掴み、腰から引き抜いた短剣を突きつけた。
鋭い切っ先が満月にキラリと光り、愛世の喉元にヒヤリとした感覚が走った。
アルファスは更に続ける。
「お前は何者なんだ。このティオリーン帝国に何しに来た?軍師ディアランを色仕掛けにして俺の首を狙いにきたか」
至近距離から覗き込み、アルファスは月を写した愛世の瞳を見据えた。
そんな愛世の細い顎は震え、桃色の唇は固く閉じている。
「答えろっ」
「わ、私は……!」
控えめな感じのする眉を苦しそうに寄せて、愛世はようやく声を出した。
「私はあなたの命を狙いに来たんじゃないわ。それにディアランを色仕掛けにしようなんて考えてない。ディアランは友達なの」
友達?
俺をバカにしてるのか?!化けの皮を剥がしてやる!
次の瞬間、アルファスが眼にも止まらぬ早さで愛世の胸元に手をかけたかと思うと、その服を一気に引きずり下ろして布を裂いた。