スセリの花冠
「きゃああっ!」

服は大きく破れてはだけ、愛世は恐怖のあまり叫んだ。

「なにするのよっ!」

ジタバタと手足を振り回し、愛世は泣き声で叫んだ。

「離してっ!いやらしいわね!」

「なんだと、もう一度言ってみろっ」

「やめてよ離して!バカッ、変態っ!!」

……怖い。怖くて、悔しい。

何が王よ!こんな事するなんて最低だわ。

愛世はアルファスに力で勝てない事を悔しく思った。

一方アルファスは、見かけよりもうるさい愛世にイライラした。

なんだ、このキチガイのような女は!

大抵女の間者は見えぬ肌に、小さな刻印があるものだ。

だが裂かれた服の間から露になった愛世の白い肌に、その印はない。

どこだ?!どこにある?!

もしこの女に印があれば、拷問して洗いざらい吐かせてやる!

……それにしても、なんと煩い女なんだ。

女といえど間者というものはギャーギャーと騒いだりはしないものである。

なのにこの女ときたら…!

アルファスは愛世の両腕を束ね持ち仰向けに倒すと、その上にのし掛かって自由を奪った。

「やめて、離してっ!」

「うるさい」

ふん、大した力もないくせに。
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