スセリの花冠
一体いつも何をしているのか。

ディアランには自信があった。

自分よりもいい男などそういないし、愛世も一緒に暮らしていればすぐ自分に夢中になるとたかをくくっていたのだ。

それがどうだ。

……アイセときたら……本当に俺を友達扱いじゃないか。

もしくは頼れる兄とでも思っているようだ。

ディアランはそんな愛世の寝顔を見ているうちに、胸が焦げるような重いような、妙な感覚がこみ上げてくるのに気付いた。

早く聞きたい。この服がここにある理由を。

「……アイセ」

「……ん……?」

愛世はゆっくりと眼を開けた。

夢の中にディアランが出てきたと思ったのに、眼を開けてもすぐ前にディアランの顔があったので少し驚いた。

おはようと言おうとしたのに、

「セロが、どうした」

…ん?

愛世は面食らった。

セロ?

え?というように首をかしげると、ディアランはもう一度繰り返した。

「セロたちが、なんなんだ」

前髪が影を落として、いつも優しい赤茶色の瞳がなんだか冷たい。

ディアラン……なにか怒ってるの…?

愛世は訳がわからず、ディアランの端正な顔をマジマジと見つめた。

「ディアラン?」
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