スセリの花冠
分からず屋!
分かっているから言ってるんだ。
引きたくない思いで互いに睨み合っていたが、やがて愛世がポツンと言った。
「じゃあ……せめて、リリアが帰ってくるまで」
「……いいだろう」
ディアランは渋々頷いた。
少しは譲歩しなければ、俺が嫌われる。
嫌われては元も子もないのだ。
気まずい朝食が終わり、立ち上がるとディアランは愛世に向かって両手を広げる。
「アイセ」
「……」
いつもと同じように愛世を抱き締めようとしたディアランを、彼女は一瞥した。
「今日はしないわよ、ハグなんて」
「……アイセ、待」
「……ふん」
少し顎をあげてツンとした表情を作ると、なんと愛世はすぐ脇をすり抜けて行ってしまったではないか。
…!!
俺が悪いのか?!
ディアランは、溜め息をつくと天を仰いだ。
****
「アイセ、あったぜ!」
近衛兵の宿舎の石段で待っていると、セロが女物の靴を一足、顔の高さまで持ち上げて走ってきた。
「良かった!ありがと、セロ!」
愛世はセロにハグをし、靴を受け取った。
分かっているから言ってるんだ。
引きたくない思いで互いに睨み合っていたが、やがて愛世がポツンと言った。
「じゃあ……せめて、リリアが帰ってくるまで」
「……いいだろう」
ディアランは渋々頷いた。
少しは譲歩しなければ、俺が嫌われる。
嫌われては元も子もないのだ。
気まずい朝食が終わり、立ち上がるとディアランは愛世に向かって両手を広げる。
「アイセ」
「……」
いつもと同じように愛世を抱き締めようとしたディアランを、彼女は一瞥した。
「今日はしないわよ、ハグなんて」
「……アイセ、待」
「……ふん」
少し顎をあげてツンとした表情を作ると、なんと愛世はすぐ脇をすり抜けて行ってしまったではないか。
…!!
俺が悪いのか?!
ディアランは、溜め息をつくと天を仰いだ。
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「アイセ、あったぜ!」
近衛兵の宿舎の石段で待っていると、セロが女物の靴を一足、顔の高さまで持ち上げて走ってきた。
「良かった!ありがと、セロ!」
愛世はセロにハグをし、靴を受け取った。