スセリの花冠
*
一部始終を見た後、アルファスは唇を引き結んだ。
アルファスには見せない表情をいっぱい持っていて、アルファス以外の人間にそれを惜しみ無く見せる愛世。
アルファスの胸に焦げるような苦痛が生まれ、無意識に眉が寄る。
愛世と出逢った最初の自分を呪いたい。
他人に頼むくらい愛世は俺に会いたくなかったんだ。
嫌いだと思っていた女に嫌われ、逆に胸を焦がすとは。
まさにその時であった。
沈み行く夕日を浴びながひとり佇むアルファスを、背後から絡み付くような視線が捉えていた。
その視線はネットリとしていて重く、激しい憎しみを含んでいた。
*****
ティサの都は徐々に活気付いてきていて、人々は浮き足立っていた。
「本当にいいの?ディアラン。疲れてるんじゃない?」
「平気だよ」
愛世は珍しくディアランと休日が重なったので、街へ連れてきてもらっていた。
街には美味しそうな料理や綺麗な服の露店、雑貨店に宝石店など様々な店がひしめき合っていて、愛世は見ているだけで楽しかった。
「もうすぐアルファスの王位継承記念日なんだ。城内でも派手に催しをする予定なんだ。俺は近衛兵隊の演目にでなきゃならないがそれが終わると後は自由だから、一緒に楽しまないか?」
ディアランにそう言われて、愛世はニコニコしながら、うん、と答えた。
一部始終を見た後、アルファスは唇を引き結んだ。
アルファスには見せない表情をいっぱい持っていて、アルファス以外の人間にそれを惜しみ無く見せる愛世。
アルファスの胸に焦げるような苦痛が生まれ、無意識に眉が寄る。
愛世と出逢った最初の自分を呪いたい。
他人に頼むくらい愛世は俺に会いたくなかったんだ。
嫌いだと思っていた女に嫌われ、逆に胸を焦がすとは。
まさにその時であった。
沈み行く夕日を浴びながひとり佇むアルファスを、背後から絡み付くような視線が捉えていた。
その視線はネットリとしていて重く、激しい憎しみを含んでいた。
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ティサの都は徐々に活気付いてきていて、人々は浮き足立っていた。
「本当にいいの?ディアラン。疲れてるんじゃない?」
「平気だよ」
愛世は珍しくディアランと休日が重なったので、街へ連れてきてもらっていた。
街には美味しそうな料理や綺麗な服の露店、雑貨店に宝石店など様々な店がひしめき合っていて、愛世は見ているだけで楽しかった。
「もうすぐアルファスの王位継承記念日なんだ。城内でも派手に催しをする予定なんだ。俺は近衛兵隊の演目にでなきゃならないがそれが終わると後は自由だから、一緒に楽しまないか?」
ディアランにそう言われて、愛世はニコニコしながら、うん、と答えた。