スセリの花冠
けれどエリーシャはそんなディアランを見失うまいと思い、瞬きも忘れる程であった。
ディアランが一軒の店で立ち止まる。
それと同時に斜め後ろを振り返り、誰かに話しかけるのが見えた。
……連れがいるのか?……誰だ。
エリーシャは一緒にいるのが近衛兵ではないことに驚いた。
相手を確かめようとして目に写ったのは、小柄で華奢な黒髪の女である。
あの女は……確か何処かで……。
必死になって記憶を手繰り寄せ、やがてピタリとその過去を見つけた。
……確かこの女は……いつかの夕暮れの中、アルファス王が見つめていた女ではないか。
赤い太陽の光を全身に浴び、微動だにせず、ただ真っ直ぐに見つめていた女は、確かにこの女だった。
エリーシャは両目を細めて愛世の背中を凝視した。
茂みの中でアルファスと抱き合っていたのをこの女に見られてから、アルファスはどの女も遠ざけてしまい、接触の道が途切れてしまっていた。
…ほう……。
ディアランの女だったのか。
エリーシャは憎しみの炎が胸に込み上げ、荒々しく全身に広がるのを感じた。
……覚えていろ、ディアラン!
瞬きを忘れた眼から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
ディアランが一軒の店で立ち止まる。
それと同時に斜め後ろを振り返り、誰かに話しかけるのが見えた。
……連れがいるのか?……誰だ。
エリーシャは一緒にいるのが近衛兵ではないことに驚いた。
相手を確かめようとして目に写ったのは、小柄で華奢な黒髪の女である。
あの女は……確か何処かで……。
必死になって記憶を手繰り寄せ、やがてピタリとその過去を見つけた。
……確かこの女は……いつかの夕暮れの中、アルファス王が見つめていた女ではないか。
赤い太陽の光を全身に浴び、微動だにせず、ただ真っ直ぐに見つめていた女は、確かにこの女だった。
エリーシャは両目を細めて愛世の背中を凝視した。
茂みの中でアルファスと抱き合っていたのをこの女に見られてから、アルファスはどの女も遠ざけてしまい、接触の道が途切れてしまっていた。
…ほう……。
ディアランの女だったのか。
エリーシャは憎しみの炎が胸に込み上げ、荒々しく全身に広がるのを感じた。
……覚えていろ、ディアラン!
瞬きを忘れた眼から、一筋の涙がこぼれ落ちた。