スセリの花冠
すると同じように愛世の様子を窺うアルファスと眼が合う。
「っ!」
「……!」
やがて諦めたようにアルファスが呟いた。
「俺の継承記念日だ。だから……少しでもお前に祝いの気持ちがあるなら……この服を着てほしい」
アルファス……。
「アイセ。継承記念日に会おう」
静かに愛世を離すと硬い表情のまま、アルファスは去っていった。
アルファス……。
一人きりになった部屋で、愛世は壁にかかった服を見つめた。
胸の高鳴りはおさまらなくて、うるさかった。
****
アルファスの三回目の王位継記念式典は厳かなムードの中、始まった。
これから七日間に渡り式典が執り行われるが厳粛なのは初日だけで、後は呑めや歌えの大騒ぎなのだとディアランは笑った。
近衛兵の隊長であるディアランは終始任務に明け暮れるのかと思いきや、式典の警備は隊ごとに交代で行うため、基本的にはそう忙しくはないらしかった。
「式典に向けての警備体制は完璧なんだ。事前に業者を含んだ来場者は全て確認済みで、期間中は城への出入口をすべて封鎖するからそう心配はいらないんだよ」
ディアランはそう言いながら愛世の頭にポンと手を置くと悪戯っぽく笑った。
「だから」
そこで言葉を切り、今度は真剣な眼差しで愛世を見つめる。
「アイセと長く一緒にいられる」
「っ!」
「……!」
やがて諦めたようにアルファスが呟いた。
「俺の継承記念日だ。だから……少しでもお前に祝いの気持ちがあるなら……この服を着てほしい」
アルファス……。
「アイセ。継承記念日に会おう」
静かに愛世を離すと硬い表情のまま、アルファスは去っていった。
アルファス……。
一人きりになった部屋で、愛世は壁にかかった服を見つめた。
胸の高鳴りはおさまらなくて、うるさかった。
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アルファスの三回目の王位継記念式典は厳かなムードの中、始まった。
これから七日間に渡り式典が執り行われるが厳粛なのは初日だけで、後は呑めや歌えの大騒ぎなのだとディアランは笑った。
近衛兵の隊長であるディアランは終始任務に明け暮れるのかと思いきや、式典の警備は隊ごとに交代で行うため、基本的にはそう忙しくはないらしかった。
「式典に向けての警備体制は完璧なんだ。事前に業者を含んだ来場者は全て確認済みで、期間中は城への出入口をすべて封鎖するからそう心配はいらないんだよ」
ディアランはそう言いながら愛世の頭にポンと手を置くと悪戯っぽく笑った。
「だから」
そこで言葉を切り、今度は真剣な眼差しで愛世を見つめる。
「アイセと長く一緒にいられる」