スセリの花冠
眩い光を放つような愛世に、アルファスは息を飲んだ。

アルファスが贈った服を着て髪を結い、化粧をした愛世を彼は食い入るように見つめた。

なんと美しいんだ。

身体が痺れるように熱い。

「アイセ」

早鐘のように胸が鳴り、アルファスは思わず彼女の名を呼んだ。

違和感を覚えたのはその直後だった。

……なにか様子が変だ。

アルファスは眉を寄せた。

アイセ……?なぜそんなに血相を変えて……。

アルファスは愛世の表情の理由が分からず、この距離を悔しく感じた。

「アルファス、アルファス逃げて!」

「なんだ、アイセ?!聞こえない」

届くはずもない言葉を呟きながら、アルファスは彼女の元へと近づこうとする。

その時である。

「あっ!」

胸に感じたことのない衝撃が走り、愛世は仰け反った。

嘘。

…なに、これ……熱い……!

「きゃああっ!」

愛世の目の前にいた人々が目を見開いて悲鳴をあげた。

なんとエリーシャの投げた短剣が、吸い込まれるように愛世の胸元に刺さったのだ。

それはあっという間の出来事であった。

ああ。

愛世は眼を見開いた。

エリーシャがクルリと体を反転させ、自分に向かって短剣を投げたのを愛世は全部見ていたのだ。
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