スセリの花冠
刺されたのに…どうして?

アルファスは無事なのかしら?それに皆は?ディアランはどうしたのかしら。

それから……どうすれば帰れるんだろう。

愛世は自分の二の腕を抱き締めて思った。

とにかくここから出ないと。

愛世が小さく息をついて歩き出したその時である。

遥か前方……ペンの先程の大きさだが、明るい。

愛世は目を凝らして、その小さな点を見つめ続けた。

それは小さいが確かに黄金色で、輝いている。

あれは……あの色は、アルファスの髪や瞳の色にそっくりだわ。

愛世はその小さな光に吸い寄せられるように歩を進めた。

行かなくちゃ。あそこまで。

その時、光の方から声が聞こえた。

「イセ…」

なに、聞こえない…。

「イセ…アイセ」

今、私を……?

「アイセ…」

!!

あの声は…!

「アルフ…、アルファス」

愛世は精一杯声をあげた。

「アルファス!」

愛世は駆け出した。

徐々に光が人の形にまで見えてきて、近づくにつれ、愛世はそれがアルファスだとハッキリ分かった。

「アイセ!」

「アルファス」

駆け寄った二人は思い切り腕を伸ばし、互いの手を握り合った。
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