スセリの花冠
腕の中で暴れる女にそう言うと、ディアランは続けて語りかける。
「俺の名はディアラン。このティオリーン帝国の近衛兵一番隊隊長ディアランだ」
「んー!」
愛世は突然見知らぬ男に口を塞がれ、恐怖のあまり更に取り乱した。
「本当に大丈夫だから。心配ないよ」
「……っ……」
大丈夫……?本当……?
よく耳を澄ませば、口こそ塞がれて抱えられてはいるが男の声は低くて柔らかい。
それに……口調も優しい。
何だか拍子抜けし、愛世はピタリと動きを止めた。
ディ……アラン?
何かの隊長の……ディアラン……?
愛世は考えた。
ちょっと……落ち着こう。
とにかく、落ち着こう。
……そうだ。
そういえば私確か……。
確か私……須勢理姫に最初で最期のお願いをしたんだったわ。
で、須勢理姫が呪文を唱えて私は眠くなって……眼が覚めるとこの男の人に抱きかかえられていて……。
ということは……。
愛世はゆっくりと両目を閉じると数回深呼吸を繰り返した。
「……落ち着いたか?」
ディアランは腕の中の女が大人しくなり、ホッとして息をついた。
「俺の名はディアラン。このティオリーン帝国の近衛兵一番隊隊長ディアランだ」
「んー!」
愛世は突然見知らぬ男に口を塞がれ、恐怖のあまり更に取り乱した。
「本当に大丈夫だから。心配ないよ」
「……っ……」
大丈夫……?本当……?
よく耳を澄ませば、口こそ塞がれて抱えられてはいるが男の声は低くて柔らかい。
それに……口調も優しい。
何だか拍子抜けし、愛世はピタリと動きを止めた。
ディ……アラン?
何かの隊長の……ディアラン……?
愛世は考えた。
ちょっと……落ち着こう。
とにかく、落ち着こう。
……そうだ。
そういえば私確か……。
確か私……須勢理姫に最初で最期のお願いをしたんだったわ。
で、須勢理姫が呪文を唱えて私は眠くなって……眼が覚めるとこの男の人に抱きかかえられていて……。
ということは……。
愛世はゆっくりと両目を閉じると数回深呼吸を繰り返した。
「……落ち着いたか?」
ディアランは腕の中の女が大人しくなり、ホッとして息をついた。