スセリの花冠
…私……バチが当たったんだわ。

ディアランの好意を何となく分かっていながら、なにも答えなかったから。

でもあの時ははっきり自分の気持ちに気づいてなかったし、どうすればいいか分からなかったんだもの。

その時の自分の心境を思い返したり、さっきのディアランを責めながら、愛世はさめざめと泣いた。

でも一番悪いのは自分だ。

ディアランの想いを置き去りにして、アルファスにときめいたりした自分が一番ふしだらで酷い気がした。

苦しい、苦しい。

まるで胸に重い石を乗せられているようだ。

愛世は嗚咽で乱れる息を何とか整えようと、立ち止まって空を仰いだ。

その途端、あの女性の華奢な身体を抱き締めて彼女に唇を寄せたディアランの姿が脳裏に蘇える。

「ううっ……!」

身体が裂けそうな程苦しい。

私……分かったわ。

今更だけど、ようやくハッキリと分かった。

ああ、私……!

私、ディアランが好きだったんだ。

だからディアランがあの綺麗な女の人と抱き合ってキスしたのを見て、すごく悲しかったんだわ。

いつの間にか、私はディアランを好きになっていたんだ。

でも、もう遅い。

ディアランの気持ちに答えなかったから、ディアランは諦めて新しい恋を始めたんだ。

ディアランは、悪くない。

全然悪くないよ。
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