私と執事

雪兎の熱  冬

厳冬の寒さに身を縮める。
雪が降る庭で雪兎をつくっていたら、

「もうそろそろ、お部屋へ戻られたらどうです。身体が冷えますから」

彼───執事が2つ3つ咳をして白い息を吐いて、頬を寒さに赤くして立っている。
私が雪兎をつくっている間、彼はずっとそこで私を見ていた。
「もう少しだけ、あと少しで完成だから」
彼は苦笑して、頭や肩に降り積もった雪を払い除ける。

暫くして、私は完成した雪兎を手に乗せて出来映えを見ていたら。
くしゅん、彼がくしゃみを1つする。
「風邪?」
雪兎を置いて、彼のもとへ。
なのに彼は困ったように笑って、後ずさる。
「うつりますから。風邪引く前にお部屋へお戻りください」
私は頷いて部屋に戻る。

少し、罪悪感があったから。
雪兎に気をとられて、彼の身体に気付かなかったって。
風邪気味だったって。

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