私と執事
花の冠 春
麗らかな春の日差しを受けて、庭の花が咲き誇る。
私は木の下で集めた花で冠を作っていた。
執事───彼は白い燕尾服を着て私の前に立った。
「どうでしょう」
春なのに真っ黒い燕尾服を着るのはどうかと、新しく仕立ててもらった白い燕尾服。
彼の黒漆の髪が綺麗に見える。
「似合ってる。黒だと全身真っ黒だからさ。髪、綺麗に見えるし」
「そうですか」
「うん、2割増しで格好いいよ」
彼が視線をずらして。
「照れてる?」
「いいえ」
嘘つき、バレてるよ、貴方の癖は。
私は編み終わった冠を、背伸びして彼の頭に乗せる。
彩りどりの花の冠、黒髪、白い燕尾服。
異色のコンビだけど、まあまあ似合う。
「これはこれで可愛い。似合うよ」
「私は着せ替え人形ではないですよ」
彼はちょっと困って、でも笑う。
その表情、私は好きだなぁ、なんて。
「アフタヌーンティーを淹れますよ、珍しい菓子もありますから」
彼は頭に冠の乗せたまま庭を出る。
私はその白い背中を追って、庭から離れた。
私は木の下で集めた花で冠を作っていた。
執事───彼は白い燕尾服を着て私の前に立った。
「どうでしょう」
春なのに真っ黒い燕尾服を着るのはどうかと、新しく仕立ててもらった白い燕尾服。
彼の黒漆の髪が綺麗に見える。
「似合ってる。黒だと全身真っ黒だからさ。髪、綺麗に見えるし」
「そうですか」
「うん、2割増しで格好いいよ」
彼が視線をずらして。
「照れてる?」
「いいえ」
嘘つき、バレてるよ、貴方の癖は。
私は編み終わった冠を、背伸びして彼の頭に乗せる。
彩りどりの花の冠、黒髪、白い燕尾服。
異色のコンビだけど、まあまあ似合う。
「これはこれで可愛い。似合うよ」
「私は着せ替え人形ではないですよ」
彼はちょっと困って、でも笑う。
その表情、私は好きだなぁ、なんて。
「アフタヌーンティーを淹れますよ、珍しい菓子もありますから」
彼は頭に冠の乗せたまま庭を出る。
私はその白い背中を追って、庭から離れた。