シローせんぱいのこと。



『え……?一緒に探して、くれるんですか……?』

『ん。ひとりよりふたりの方が、見つけやすいでしょ』



そしてすぐさまその場を駆け出して、街中を走り回ってくれた。



『ブルー!ブルさーん!』



聞こえてくる、彼がブルさんを呼ぶ声。

一生懸命なその声に、勇気づけられるように、私ももう一度ブルさんを探そうと涙を拭いて走り出す。



『ブルさぁーんっ!どこー!?』



商店街の隅から隅を、声をはりあげ汗をかき探し回る。まわりの人が何事かと見るのも気にせずに。



ひとりならきっと、諦めてしまっただろう。くじけてしまっただろう。

だけど、遠くで一緒にブルさんを呼ぶ、その声があったから。めげることなく探し続けた。



そして、どれくらいが経っただろうか。クリスマスの人混みも徐々に落ち着き始めた頃。



『いた!!』



聞こえたその声にちょうど近くを探していた私がかけよると、そこにはブルさんが『へっへっ』と嬉しそうに、彼に抱えられていた。


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