シローせんぱいのこと。
『ブルさん……ブルさぁぁぁ~んっ……』
『ほら見ろブルさん。ご主人こんなに心配してくれてたんだよ』
『くぅーん』
その顔を見た瞬間、安心感から泣き出す私に彼はそっとブルさんを手渡した。
小さな体のずしっとした重みが、とても愛おしい。
『ちょうどそこの店の人が抱きかかえててくれて。迷い込んだ店の中で皆に可愛がられてたみたい』
『よかったぁぁ~……』
『……泣きすぎ』
よかった、よかったよ。
そのきもちを表すように、ぎゅーっとその体を抱きしめた私に、ブルさんは頬を伝う涙をペロッと舐めた。
ふと目を向ければ、目の前の彼はこの寒い夜に全身を汗でびっしょりとさせている。
『あっ……一緒に探してくれてありがとうございました!』
『いーよ。よかったね、ブルさん見つかって』
『はいっ……でもすみません、折角のクリスマスに』
『どうせ補習帰りでクリスマスもなにもなかったから』
そこでようやく、わたしは彼の姿をきちんと見た。
高い背にハデな金髪、耳に光るピアス。そして、優しい笑顔をした人。
そう、それが彼との出会い。