シローせんぱいのこと。
「あ、えなー。次の時間図書室だって」
「あっちゃん……」
戻った教室は、まだみんながお昼休みを過ごしていて、がやがやとにぎやかな声が響く。
そんななかでちょうどドアのところにいたあっちゃんは、わたしの姿を見ると、声をかけてくれた。
「あれ、それにしても今日は戻ってくるの早くない?いつもならギリギリに戻るのに。シロー先輩は?」
「……、」
『シローせんぱい』、その名前にまたズキ、と痛むこころ。それをこらえきれず、あっちゃんにぎゅうっと抱きついた。
「え!?どうしたの!?」
「ごめん、あっちゃん……ちょっとだけ、泣きそう」
「えな……?」