シローせんぱいのこと。
やだ、はずかしい。しかも、シローせんぱいの前でっ……。
鼻血をたらす姿、笑われること、それらが恥ずかしくてたまらなくなり、顔はかぁっと赤くなる。
痛みと恥ずかしさで、泣きそう。
けれど目の前のシローせんぱいは笑うことなく、それどころか真剣な顔のまま自分が着ていた白いセーターを脱ぎわたしの顔へと押し当てた。
「とりあえずそれ、当てといて。保健室行こ」
そしてそう言うとそのまま、お姫様だっこの形で私を抱き上げた。
「えっ、わっ、シローせんぱい、わたし自分であるけ……」
「いいから。あ、宮田、お前ノート職員室まで持って行けよ」
「は!?なんで俺が……」
「……文句ある?」
先程笑ったその人……宮田、というらしい先輩は、ジロリと睨むシローせんぱいに反論できず押し黙る。
し、シローせんぱい、意外とこわい人……?
驚くうちに、シローせんぱいは廊下を歩きだした。