シローせんぱいのこと。
「はやく終わらせて帰るに限る!」
でもっておうちでコタツに入ってブルさんと遊んで……。
そうほうきをザッザッと高速で動かす。そのとき、トントンと肩を叩かれた。
「へ?」
なに?
警戒心ひとつもなく振り向くと、ほおにはつんっとなにかが刺さる感触。
よくよくみればそれは指先で、振り向いたら刺さるように用意されていたんだろう。
「なーにしてんの、えな」
「シローせんぱい!」
視線をうしろへとうつせば、その犯人……シローせんぱいはふっと笑ってみせた。
「みての通り、掃除です!」
「ん。知ってる。聞きたいのは、なんでひとりで掃除してんのってこと」
不思議そうに問いかけながら、わたしの持つほうきを指差す。
「え、えーと、自主的な奉仕作業です!」
「うそ、えらい子じゃん」
「うそです!」
「うそなの?」
言い訳をしてみたけれど、信じられてしまうと心苦しい。そんな気持ちですぐ訂正した。