シローせんぱいのこと。
「……えならしくて、安心する。そーいうとこ」
「え?」
そしてそっとわたしの頬を、冷たい指先で撫でた。
その時、どこからか飛んできたボールがシローせんぱいの頭にボンッ!と勢いよくぶつかる。
「いてっ」
「わぁ!」
い、いきなりなに!?
驚きみれば、それは白いバレーボール。シローせんぱいは痛そうに頭をさすりながらそれを手にした。
「シローせんぱい、大丈夫ですか!?」
「ん……大丈夫。痛いけど」
「ごめーん、こっちにボール飛んでこなかったー?」
「!」
聞き慣れた声に振り向くと、ボールを追いかけるようにやって来たのは、茶色いストレートヘアをふたつに結った先輩……そう、アヤさんだった。
彼女は痛がるシローせんぱいの姿から状況を察すると苦笑いを見せる。