シローせんぱいのこと。
「シローせんぱいは、告白しないんですか?」
「は?」
アヤさんへの、告白。その意味は、シローせんぱいがいっそアヤさんとくっついてくれたら、わたしも諦められるかもしれないのにという自分本位のこころ。
それをさとられないように、ふふと笑う。
「だって世間はもうクリスマスですよっ。告白してふたりでクリスマスすごせたら素敵じゃないですか」
「……女子は恋愛とイベントを合わせるのが好きだよね」
「あっ流さないでくださいよー!」
呆れたように鼻で笑うシローせんぱいに、わたしは頬を膨らませる。
「……告白とか、いーよ。そういうの。今の関係壊したくないし」
「けど、もう卒業なんですよ?」
「いいんだってば」
関係を壊したくない。その願いは、わたしがシローせんぱいに抱くものと同じ。
壊したくない、怖いから。壊れるくらいなら、このままで。
「……けど、言えなかったら一生このままです」
分かるのに、言葉は出てきてしまう。