シローせんぱいのこと。
「な、ななななにを言ってるんですか!いきなり!」
あぁもう、こんな反応したらきっとバレバレだよ……!絶対からかわれる!
けど、スキな人から『自分の好きな人』の話を振られるとは思わず、動揺は止まらない。
「……え?本当にいんの?」
「え?」
けれど、真っ赤になるわたしを見てのその反応は予想とは違う。
驚き、笑みが消えた。
「え……あ、あの、その……」
「誰。教えて」
「えぇ!?」
誰!?なんで!?
真面目な顔で問うシローせんぱいに、余計あせってしまう。
「いっ言えません!ダメです!」
「なんで。俺の知ってる奴?」
「え!!そ、その……」
知ってる奴もなにも……あなたなんです、シローせんぱいなんですってば……!
こころのなかで叫ぶものの、言えるはずもなくわたしは必死に言い訳をさがす。
けれどシローせんぱいはそれを許さず、追い込むようにわたしの後ろの壁にドンッと手をついた。
壁とシローせんぱいの間にはさまれ、一瞬時が止まった気がする。