シローせんぱいのこと。
*
「えなー?おーい」
「はっ!」
目の前でひらひらと手をふるあっちゃんの姿に、わたしははっと我に返る。
そこはわいわいと皆が、それぞれにお昼ごはんを食べようとしている教室。
そう、昼休みの時間だ。
「わっ、わー!4時限目終わってたー!」
「もうとっくだよ。どうしたの、ボーッとしちゃって」
いつもなら一番に教室を出るわたしが、ひとりぼんやりとしていたことが不思議だったんだろう。あっちゃんは不思議そうに首を傾げて問う。
「ちょっと、かんがえごとしてて……」
「考え事?よっぽど深刻なこと?大丈夫?」
「う、ううんっ、全然!じゃあわたし行くねっ」
そんなあっちゃんの元を飛び出すように、わたしはお弁当の入ったランチトートを手に教室を出た。