シローせんぱいのこと。
伝え、る。
わたしがずっと逃げていたこと。
だけど、このままでいいの?汚い自分にがっかりして、それで終わりにできる恋?
……ううん、そんなわけないよ。
だって、スキだもん。シローせんぱいにスキな人がいるって知っても、それでも諦められない恋だったんだもん。
このまま終わってしまったらきっと、わたしはもっとわたしをきらいになってしまう。
汚くて、臆病で、ダメな自分のこと。
いつか、スキになったことも後悔して、シローせんぱいと過ごした日々でさえきらいになってしまう。
そんなの、いやだよ。
「……わたし、いってくる」
「うん、いってらっしゃい」
席を立つわたしに、あっちゃんはどんっと背中を叩く。
「泣いて戻ってきたら、いくらでもなぐさめてあげる」
心強い、笑顔で。
「うんっ……」
勇気を、出すんだ。
シローせんぱいに、伝えるんだ。
たった一言、だけど大きな一言。
『スキ』のきもちを