シローせんぱいのこと。




伝え、る。

わたしがずっと逃げていたこと。



だけど、このままでいいの?汚い自分にがっかりして、それで終わりにできる恋?



……ううん、そんなわけないよ。

だって、スキだもん。シローせんぱいにスキな人がいるって知っても、それでも諦められない恋だったんだもん。

このまま終わってしまったらきっと、わたしはもっとわたしをきらいになってしまう。



汚くて、臆病で、ダメな自分のこと。

いつか、スキになったことも後悔して、シローせんぱいと過ごした日々でさえきらいになってしまう。

そんなの、いやだよ。



「……わたし、いってくる」

「うん、いってらっしゃい」



席を立つわたしに、あっちゃんはどんっと背中を叩く。



「泣いて戻ってきたら、いくらでもなぐさめてあげる」



心強い、笑顔で。



「うんっ……」






勇気を、出すんだ。

シローせんぱいに、伝えるんだ。

たった一言、だけど大きな一言。



『スキ』のきもちを






< 78 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop