シローせんぱいのこと。



「はぁ……」



……シローせんぱい、アヤさんに告白したのかな。

上手くいって付き合った?ダメで、でも諦めきれない?どちらにせよ、その心が向くのは彼女の方向だ。



言えずに終わった恋。結局スキの言葉は言えなくて、『スキになってよかった』より『スキになるんじゃなかった』と、後悔ばかりが押し寄せる。



けど、言えないよ。そんなに強くない。

結局あのまま逃げて、あっちゃんと連絡も取っていなくて……逃げて、ばっかりだ。



「けど、言うべきだったかなぁ。ブルさん」

『くぅーん』



なんて、ブルさんに聞いてもムダだよね。自分で問いかけておいて、苦笑いがこぼれる。



……けど、このまま終わっていいのかな。このまま卒業して、別々になったら一生会えないかもしれない。

一生、終わらないきもちを抱えたまま。



わたしはきっと、シローせんぱいのことがスキなまま。この先どこかで誰かと出会って恋に落ちても、ずっと。

心の片隅には、シローせんぱいへの気持ちが残ったまま。



『えな』



笑顔を思い出すだけで、胸は痛むのに




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