彼氏と思っていいですか?


どうしようかな。


家に着くなり制服のままベッドに横になった。
自分の部屋で誰も見ていないのをいいことに、スカートの裾のめくれるのなんてそのままに、ごろりと転がる。

スマホを片手に逡巡する。


『今日の種目決め、残念だったね』

『同じのに参加できるかと期待しちゃった』

『結局、どの種目になったの?』


朝陽くんへ送る文面が頭をかすめては入力されないまま消えていく。
変かな、こんなこと送るの。
朝陽くんと打ち解けてからまだ一週間もたっていなかった。


話しかけていいのかさえわからない。迷惑じゃないかな。
もっとかわいらしい、女の子っぽい表現はできないかな。
使い慣れない顔文字まで探しだす始末だ。


「お姉ちゃん、帰ってるの?」

「帰ってるけどなに?」

「ご飯は?」


出入り口にいる深雪がアイスキャンデーをなめながらこっちを眺めていた。思わずベッドサイドの目覚まし時計を振り返る。十八時半を過ぎていた。

「うわわ!!」

夕飯、支度しなきゃ!
慌てて部屋を出ようとしたもののまだ制服のままだった。回れ右してTシャツと半端丈のパンツに着替える。


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