彼氏と思っていいですか?
「幹仁くん。よかったらこれ食べない?」
廊下に出たところで、背の高い後ろ姿を呼び止める。
振り向いた幹仁くんはいったん私に目を留めてから、私の手のなかにあるものに視線を移した。
「弁当? え? え?」
心底驚いている様子。
「マジでもらっていいの?」
「うん。あの、漫画借りてるから、そのお礼ってことで」
「そんなの別にいいのに」
でもサンキュ! と満面の笑顔を向けられる。
私も微笑みを返したつもりだけど、うまく笑えていたかどうか。