彼氏と思っていいですか?
声をかけられて驚く。
見ると、なんとなく見覚えのある男の子がちょうど店に入ってきた風情でこっちに笑いかけていた。
後ろには友達らしき人たちもいる。
「だよね? このまえ朝陽と登校してた人だよね。ちは−っす!」
ちわーっすに返す挨拶を見つけられないまま、ぎくしゃくと小さく会釈をするまに、男の子たちは勝手に盛りあがっていた。
「え、どこ? どれ?」
「ふたりいるんだけどどっち」
「どっちだっていーじゃん。でさ、さっきの続きだけど」
そうだ、朝陽くんのお友達だった。
朝陽くんと並んで登校したあの日、朝陽くんのほうから声をかけた男の子。
名前はなんだったか思い出せない。
彼は友達を誘導して注文カウンターへ向かった。