彼氏と思っていいですか?
怒りに支配されたまま、一息でまくしたてる。
私の豹変ぶりに朝陽くんは絶句している様子。
「私が朝陽くんとちっとも話せてないから、幹仁くんは気を配ってくれてたんだよ。自分が私と仲良くなることでどんな問題が起こりうるか、それだってちゃんと考えてたよ。そう言おうとしたのに、人の話を聞かないで、なんでわかったふうだとか、幹仁くんに肩入れするとか、そんな……そんな……」
訴える自分の唇が震えている。
通行人が好奇の目を向けている。
そんなのわかってる。
自転車をそのままにして、朝陽くんは私を脇の路地まで移動させた。
状況も感情も、自分ではどうすることもできなかった。
悔しい。悲しい。
そして、苦しい−−。
「朝陽くんの言い分を聞きたいけど、これ以上がっかりしたくないと思う自分が……嫌だよ」