彼氏と思っていいですか?


「やっと同じ学校のヤツがいた」

ほら、と彼の声の差すほうに目をやると、猫背気味の男子生徒の後ろ姿があった。
朝にいつも見かける人だった。先輩だったと思う。

「このあたりから私たちの学校に進学した人って少ないんだよね」

「どうして? ぎりぎり徒歩通学できる距離だろ」

「このへんの公立中学は運動部が強かったの。運動のできる人が強い運動部に入るから、もうずっと伝統的に、決まった部活ばかりどんどん強くなっちゃって。だから進学先も、同じ学力レベルなら部活動の強豪校を選ぶ人が多いみたいで」


テニスや陸上をやっていた親友たちはこぞって電車通学の学校へ進んだ。

私ばかりが取り残されたように淋しく感じた時期もあったけれど、今では仕方のないことだって思えるようになった。


私は私の学校の緩さが好きだ。
強い部はないけれど、みんな楽しんで思い思いの活動に励んでいられる。

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