彼氏と思っていいですか?
私は抱き寄せられたまま、朝陽くんの名前を呼ぶしかできなかった。
朝陽くんはそのたびにうんうんと返事をくれた。
なだめるように私の頭を撫でた。
「他のやつのところになんか行くな」
「行くわけない」
なにを言っているんだこの人は。
彼の胸から身を起こしたところで言われ、信じられない思いでその顔色を窺う。
にこりともしていないところをみると、冗談ではないらしい。
まだ認識の相違があるようなので、この際だからはっきり言っておく。
「朝陽くんだけが好き。大好き」
あ、そう、と朝陽くんからは拍子抜けしたような返事があった。
「なら、いいや」
「うん」