彼氏と思っていいですか?

「紗菜がスポーツできる子じゃなくてよかった」

朝陽くんが心の底から安心したように言ったので、怒りを通り越して笑ってしまった。
彼は予測不能であり、ときどき失礼なことを言う人でもあるのだった。

「運動できなくてよかったと言われるのなんて初めてだ」

「だろうね。そうだ、運動といえば体育祭あるじゃん。紗菜はなにやるの?」

「むかで競争か綱引きか大玉送りをさせてもらえたらなあ、と」

「あはは、全部団体種目! しかも答えの速さに迷いがない!」

「個人のに出たら悲惨だもの。やる側も見ている側も」

「そこまで言う?」

「朝陽くんはなににするの?」

んー、と思わせぶりに返事を延ばすと、朝陽くんは、
「考え中」
と言うだけで、結局教えてはくれなかった。

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