彼氏と思っていいですか?
結果は二位だった。
香織ちゃんの第一グループは一位。ジンクスは健在だった。
「驚かそうと思って、出場種目交代したことをぎりぎりまで言わずにいたのに、なんだよこれ。幹仁と代わった意味ないだろ」
朝陽くんと並んで応援席に戻る。
言っている内容の割に声色は明るい。
香織ちゃんは気を利かせたのか私の後ろをついてきている。
「サッカー部のほうはどうだったのかな」
「あ、私、見てたよ。二位だった。陸上部の次」
「そう、二位でした」
私に被せるように声がして、見ると幹仁くんがにっと笑っていた。
手には安全ピンのついた、二位を示す赤いリボンの端切れが乗せられている。
「見ててくれたんだ。すっげー嬉しい」
幹仁くん、わかっていてやっているんだろうな。
明らかに私に向かって言ってくれていて、私は吹き出しそうになるのを堪える。
私の右側、つまり朝陽くんに不穏な気配が沸きあがるのを気づかないふりでやりすごす。
幹仁くんにしてみたら、本来なら私と同じレースに出るはずが、朝陽くんが交代してくれたお陰で私に走りを見せられたのだから満足、ということなんだろうね。