「お前は俺のモノ」【完結】
そういえば、一時間寝るって言ってたな。
何か用事があったのかな。

彼が運ばなきゃ私はベッドにいないわけだし。


まあ、いっか。
いつか…帰って来るはずだし。

ペットだって思われてるなら、世話をしなきゃいけないわけだし。


彼が帰って来なかったら、私はきっと食事だって摂らない。
それを彼が許すと思えない。

人間としての、思考じゃないな。これ。


自分自身に苦笑すると、私は再度ベッドに潜り込んだ。


微かに香る彼の香水の匂い。
布団を手繰り寄せると、ぽつりと呟く。


「…ペットはご主人様の帰りを…大人しく待つってか」


ふざけてるな。
でも、それが今の私の立場なんだ。


静かに目を閉じてから、すぐに私は夢の世界へと落ちて行った。
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