「お前は俺のモノ」【完結】
「…お前は」


見た事ないぐらい、悲しそうな瞳で私を見る彼に息を飲んだ。


さっきとは違う意味で鳴る心臓。
ドキドキしながら彼の言葉の続きを待つが、彼は自嘲すると口を噤んだ。


「明日、大学行くから準備しとけよ」

「……うん」


それから彼は立ち上がると、出かける準備を始めた。

だけど。
私の心臓は鳴り止まなくて。

シャーベットの味なんて、もうわからなくなっていた。



彼を見送った後、ソファに腰を沈めたまま私は動けなかった。

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