「お前は俺のモノ」【完結】
「…俺が、怖い?」
抑揚なくそう言うと、彼は抑えつけてる手首を自分の顔へと引っ張り手の平へと唇を押し当てた。
手の平にキスをされてるというのに、彼が怖い。
近付けたと、そう思えたのに。
彼と私の間には大きな壁が立ちはだかってしまったかの様に思える。
怯える私の腕を引っ張ると、またどこかへと向かう。
きっと、大学から出るつもりなんだ。
腕の痛みに耐えながら、私は無言で歩く彼の背中を見つめた。
勝手に、出た私が悪かったんだ。
何かメモ残すとか、何でも出来たのに。
それをしなかった、私が悪い。
怒って当たり前だよね。
…自分のペットが勝手にどっか行っちゃったら。