「お前は俺のモノ」【完結】
私の腕を引っ張ると、アキラは私をぎゅっと力強く抱き締める。
この温かさが欲しかったんだ。
この温かさに安堵して、私は更に涙を流す。
苦しいほどに私を抱き締めたアキラは、暫く動かなかった。
だけど。
急に私の肩を掴むと、自分の体から離す。
突然の事で私は彼の顔を見つめる。
アキラの顔は、無表情で。
私と視線を合わす事なく、
「お前は俺が金で買ったんだ。
ペットを捨てる様な事はしない」
そう言い捨てると立ち上がって、真っ直ぐに玄関へと向かった。
振り向く力なんかなくって。
ガチャンと、扉が開いて閉まる音をただただ背中で聞いていた。