「お前は俺のモノ」【完結】
どこに行ってしまったんだろう。
そんなのわからないけど。
だけど、きっと私ではない誰かのところ。
そんなの解り切ってるのに。
なのに、どうしてこんなにも涙が溢れて来るんだ。
それからどれだけ経ったのだろうか。
私はいつの間にか眠ってしまっていたらしく、何かの物音で目を覚ました。
ハッとして体を起こして、辺りを見渡すと彼がいた。
冷蔵庫から飲み物を取り出すと、それを飲んでいる。
帰って、来た。
それだけで、泣きそうになる。
視線を感じたのか、彼は私を見た。
だけど、何も言わずに寝室へと向かう。
「…あ、あの」
思わず、その後ろ姿に声をかけると彼がピクリと反応した。