「お前は俺のモノ」【完結】
彼はゆっくりと私の方に顔だけ向けた。
一切笑ってなくて、冷たい瞳。
「……お帰りなさい」
彼のグレーがかった瞳に委縮してしまいそうだったけど、どうにかそれだけ伝える。
その言葉に彼は一瞬、目を見開いた。
「今日、大学は…」
「もう、好きにしていいから」
続けて話す私の言葉を遮って彼が言う。
「え?」
彼が何を言ってるのか、わからなかった。
目をぱちぱちとさせる私。
「俺、暫く帰らないから。
だから、自由に出歩いていい」
「あ、これ鍵と金」そう言いながら、私に合い鍵と十分過ぎるぐらいのお金を渡す。
手の平に乗った万札と、鍵を見て呆然とした。