「お前は俺のモノ」【完結】

…何してるんだろ、私。


陽子、驚いただろうな。
彼に拒絶された日じゃなければ、きっと話を聞けたのかも。

今日は、聞きたくなかった。

勝手だけど。


両手で顔を覆うと、私は背もたれに体を預けた。


でも、陽子昨日私の事守ろうとしてくれたよね。
彼と付き合ってる、とか、そんな感じじゃなかった。

…私、何か間違えた?

そう思ったと同時に声がした。


「…多恵!?」


昔から聞き慣れたその声。

顔を覆っていた手をどかして、声がした方を見る。


そこには葵兄がいた。


「何してんだよ、こんなとこで」

「葵兄」


いつもと変わらない葵兄。
Tシャツにデニムで、シンプルな格好。
< 145 / 254 >

この作品をシェア

pagetop