「お前は俺のモノ」【完結】
…何してるんだろ、私。
陽子、驚いただろうな。
彼に拒絶された日じゃなければ、きっと話を聞けたのかも。
今日は、聞きたくなかった。
勝手だけど。
両手で顔を覆うと、私は背もたれに体を預けた。
でも、陽子昨日私の事守ろうとしてくれたよね。
彼と付き合ってる、とか、そんな感じじゃなかった。
…私、何か間違えた?
そう思ったと同時に声がした。
「…多恵!?」
昔から聞き慣れたその声。
顔を覆っていた手をどかして、声がした方を見る。
そこには葵兄がいた。
「何してんだよ、こんなとこで」
「葵兄」
いつもと変わらない葵兄。
Tシャツにデニムで、シンプルな格好。