「お前は俺のモノ」【完結】

「…ああ。そう。…で?話ってそれだけ?
…知らない。…あーわかったよ、明日でいいだろ?」


至極、ダルそうに話す彼は明日誰かと会う約束をしたらしい。


誰?って聞きたい衝動を抑えながら、私は布団を被る。
通話を終えた彼は、私の元に戻らずに浴室へと向かった。


シャワーの音がしてから、私はもぞっと布団から顔を覗かせた。


久々にあんな不機嫌そうな声を聞いた。
さっきの低い声を思い出す。

最近、優しい話し方しか聞いてなかった。


そういえば、最初は私にもあんな喋り方だったな。
それが、どこか遠い昔の様に感じる。

多分一ヶ月ぐらいしか経ってない筈なのに。


時計も、カレンダーもないこの部屋。
今が何時で、何日で、何曜日でって知る事は不可能に近い。
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