「お前は俺のモノ」【完結】
これから、起こる事。
それを少しずつ、理解してたのかもしれない。
這い寄って来るそれが、私には怖くて堪らなかった。
それから、アキラは本当にすぐに戻って来た。
二人をどうやって帰したのかもわからない。
だけど、私とアキラとの間を邪魔するモノがなくなった事に、私は今度こそ安心したんだ。
私の隣に座ると、頬を掴む。
食い込む爪が少し痛い。
少し驚きながら、アキラを見ると険しい表情で私を見ていた。
「…なあ、葵ってのはタエの事が好きなのか?」
「え…?」
葵兄が?
私を?
「……」
首を振ろうとするけど、彼の手がそれを阻む。