「お前は俺のモノ」【完結】
「多恵…」
「……あお、い、にぃ」
「っっ」
扉越しでも葵兄が息を呑むのがわかった。
私はそっと、扉に触れる。
「…心配、しない…で」
普段あまり声を出していない所為か、声が掠れてうまく出ない。
「…私、幸せだから」
「多恵!そんなわけあるかよ!
目を覚ませ!それはれっきとした監禁だ!
あの男がしてるのはっ」
監禁?
……私は。
「…私は自分から家にいる事を望んでるんだよ」
部屋の中で動けないわけじゃない。
望めばきっと、アキラは色々なモノを買い与えてくれる。
でも、私が欲しいのは彼自身だから。
だから、今の生活に満足してるんだ。