「お前は俺のモノ」【完結】

「多恵…」

「……あお、い、にぃ」

「っっ」


扉越しでも葵兄が息を呑むのがわかった。


私はそっと、扉に触れる。


「…心配、しない…で」


普段あまり声を出していない所為か、声が掠れてうまく出ない。


「…私、幸せだから」

「多恵!そんなわけあるかよ!
目を覚ませ!それはれっきとした監禁だ!
あの男がしてるのはっ」


監禁?

……私は。


「…私は自分から家にいる事を望んでるんだよ」


部屋の中で動けないわけじゃない。

望めばきっと、アキラは色々なモノを買い与えてくれる。


でも、私が欲しいのは彼自身だから。


だから、今の生活に満足してるんだ。
< 219 / 254 >

この作品をシェア

pagetop