「お前は俺のモノ」【完結】
アキラの方を振り向くと、壁にもたれて俯いたまま立っている。
酷く、その姿が頼りなくて。
私は彼の元へゆっくりと歩み寄る。
「…そうやって、タエは結局他の男のとこへ行くんだな」
「え?」
アキラは今にも泣きそうな瞳で、私を見つめた。
アキラの言ってる意味がわからないよ。
私はどこにも行くつもりなんてないのに。
「お前は、俺の、モノ…だろ?」
ゆっくりと、私へと手を伸ばす。
グレーがかった、その瞳に私は囚われてるというのに。
何で、そんなに自信がなさそうに言うの?
私はいつだって、アキラのモノなのに。
アキラの手を取ると、自分の頬へと持って行く。