「お前は俺のモノ」【完結】
「…私は、アキラのモノだよ」
「………」
「ずっと、ずっと。アキラのモノ」
「………」
そう、ハッキリと告げているのにアキラの顔はどんどんと歪んで行く。
どうして、そんな顔をさせてしまうのだろうか。
私はこんなにも、アキラの事が好きなのに。
「……ちょっと…」
カツンカツンとヒールの音が廊下に響いたと一緒に、その声がする。
「多恵!!!」
声がした方を恐る恐る振り向く。
誰かはわかってる。
でも、会いたくなかった。
出来たら。一生。
一番、会うのを避けていた陽子がそこに立っていた。