「お前は俺のモノ」【完結】
「私の帰る場所は、ここ」
「……」
「だから、会わない」
そうだ。
私の答えは決まってる。
今は会いたいと思えない。
……いつか、会いたいと思うのかな。
アキラは私の返答に、優しく微笑むと陽子と葵兄の方を見た。
それから、ハッキリと告げる。
「じゃあ、帰って。タエと二人になりたいから」
「……明日から大学、行かせるよな?」
「…ああ」
葵兄がそう言うのを、アキラは顔も見ずに返事をする。
それから陽子が私を真っ直ぐに見た。
「多恵。大学一緒に…は、もしかしたら無理かもしれないけど…卒業しようね」
「……うん」
それほど、休んでしまったんだ。
とっくに退学になってるんだって思ってた。
「不本意だけど…、彬さんに多恵の事任せるから」
「何かあったらすぐに言えよ」
二人して、アキラの事全く信用しないな。
部屋にいる間、私は特に何もされてないのに。
それに私は曖昧に笑う。
二人はそう言って、部屋を後にした。
陽子は最後の最後まで心配そうに私を見ていた。