「お前は俺のモノ」【完結】
「さー、何がいい」
「…え。リクエストしたらすぐに弾けるの?」
「大体な」
「凄いね」
「……あ、でもこれがいいわ」
そう言って、アキラが鍵盤に手を這わすと音を奏でる。
「……何で?」
流れたメロディーを聞いて、私からはそう声が漏れた。
「んー?内緒ー」
その曲は、アキラがいる前で歌った事がない曲だったから。
「ほら、早く。歌って」
もう、歌が入るとこだけど、言葉が詰まって声が出ない。
アキラの指が軽やかに鍵盤を弾く。